第1話 『失われた日常(後編)』
『あれは...ガンダム?』
上空で戦闘を行っている二機の内
緑色の...龍を彷彿させるその機体は
子供の頃テレビで見た‘ガンダム’
と言う名のロボットによく似ていた。
戦闘は激しく続いていたが
やがて、緑色の機体が押し始めた。
形勢が不利になった黒い機体は
突然、逃げるように地上に降りてきて
僕の近くで身構えた。
―――戦闘は、さらに激しくなる。
『早く逃げないと。』 そう思えば思うほど
足がもつれて動けない。
そんな僕の目の前で、緑色の機体が
一瞬、輝いたかと思うと
黒い機体は、十字に引き裂かれ
やがて、ゆっくりと崩れ落ち
その後、跡形もなく爆発した。
目の前に広がる炎。
でも、僕の体は恐怖で動かなかった。
――― 死ぬ!?
そう思った瞬間、目の前に
'ガンダム' に似た水色の機体が現れて
爆風を防いでくれた。
あまりの出来事に、僕が呆然としていると
緑色の機体から、誰か降りて来た。
そして、ゆっくりと僕に近付き
『なんだ?お前は。』と言った。
僕が返答する間もなく、軍服を着た
20代前半くらいに見える
その男は、胸元から銃を取り出すと
『誰だか知らねぇが、見られたからには死んでもらう。
それが俺達のルールだ。』
そう言いながら、鈍く光る銃口を僕に向けた。
(第2話『閉ざされた世界』 に続く)
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